2012年3月28日水曜日

「LEON インタビュー」

悠々と流れる阿賀野川を煌びやかな倍音で彩るSwallowtail*QueenbeeのギタリストLEON。
合唱組曲「阿賀野川」は彼にとって無縁であったものの、何がそこまで彼を惹きつけたのか…。
瞳の奥には、確かなその「答え」が写っていた――。




いつも音楽に助けられていて、…音楽には敵うものはないですね。


――はじめに、この混声三部合唱組曲「阿賀野川」20周年プロジェクトの話を聞かされた時の事を教えてください。

まず、バンドのミーティングをその日に限って私のアパートでする事になったんです。
普段ならファミレスとかでミーティングするのですが…。
だから“何かあるな”と感じましたね。
そして当日、トオルさんに会ったときにすぐに悟りましたよ、やはり何か企んでいると。
…顔に思いっきり出てましたからね(笑)。
それでミーティングの本題に入ると、トオルさんから“これをバンドでカヴァーしたい”と、初めて合唱組曲「阿賀野川」を聴かされました。
その空間に、いつもだったらロックしか流れないはずのスピーカーから、ピアノの旋律の中に溶け込む中学生たちの合唱が流れてきて。
…もう回答に困りましたね、何かの御冗談だと思いました(笑)。
こんなのどうカヴァーすんだ?とね。


――それは驚いたでしょうね(笑)。

もう驚きましたよ。
合唱曲を聴き終わってから、トオルさんが満面の笑みで“デモは作ってあるよ。あとは好きに弾いていいから!”と言ってきたんです。
意味不明の状況で、とりあえずデモを聴いてみたら…アレンジにびっくりしました!
その時にトオルさんの中で、合唱組曲「阿賀野川」のバンドカヴァーした完成型はこんな感じなんだな、と思って。
まず、故郷や「阿賀野川」に対する想いがそのままデモに表れていましたからね。
その瞬間、不安より、期待の方がはるかに勝りましたね。
だから即答しましたよ、“うん、弾くよ”って。


――意外すぎる展開ですもんねぇ。
それで、LEONさんは合唱組曲「阿賀野川」を聴いていかがでしたか?

初めて聴いた時に感じたのは“本当にこれやるの?”でした(笑)。
さっきも似たようなことを言いましたけど…、よく考えてみてくださいよ。
ロックバンドが今まで合唱曲のカヴァーした事ありますか?
私と同じ立場ならほとんどの方が同じ意見なんじゃないですかね。
“これやるの!?…マジで?”って(笑)。
だから戸惑って最初は曲をまともに聴けなかった(笑)。


――なるほど。バンドマンには普通考えられないですもんね。

でしょ?
それから私は、初演発表会のCDをずっと聴き込みました。
そこから感じた事は、「優しく、強く、荒々しく、そして暖かい」でしたね。
それぞれの曲に場面を持たせてあって、歌われている内容の情景が目の前に広がっていきましたよ。


――音楽って不思議な力がありますもんね!

そうなんですよねぇ。
私はいつも音楽に助けられていて…。
曲を聴いて、感動して、勇気をもらって…。
だから今回、合唱曲を歌っている生徒さんの気持ちの入った歌声には、言葉では表現しきれないくらいに心に突き刺さるものがありましたね。
そう思うと私の中では何に対しても、音楽には敵うものはないですよ。
その反面、これからやろうとしているプロジェクトで自分に課せられた重責に気づいた瞬間でもありましたね。





自分が感じたインスピレーションを大切にしようと思った。
それを伝えなければ意味はない。



――合唱曲をカヴァーしたわけですが、ギターアレンジやこだわりについてお聞きしたいのですが。

基本的にシンプルで聴きやすく、また統一感のあるわかりやすいものにしました。
そして、一番大事にしたのはリズム。
ドラムという指揮者の下、場面場面の情景を大切にしたんです。
また、どの曲でも「自分が原曲から感じた自分らしいフレーズ」を入れました。
そのフレーズが良いかどうかは別として、自分なりに曲を解釈してココってところに魂を込めたんです(笑)。
まずは、自分が感じたインスピレーションを大切にしようと思って。
それを伝えなければ意味はないんだって…。
そういうのって大事じゃありません?
すごく思い入れのある曲になりましたよ!
是非、どのフレーズか探して欲しいですね!


――はい、その「魂のフレーズ」を探させてもらいますね(笑)。
レコーディングを終え、夏にはCD発売の予定ですが、今のお気持ちはいかがですか?


とりあえず皆さんに早く聴いてもらいたい気持ちでいっぱいですね。
新しいチャレンジでしたのでもちろん不安はありますが、皆さんの心に届いてくれたら何よりです!
そしてライブで皆さんと一緒に歌えたら最高ですね!


――それでは、合唱組曲「阿賀野川」の20周年について思うところはありますか?

本当にすごい事だと思いますし、心から敬意を表してますよ。
最初は合唱のカヴァーなんてって思ったんです…。
初めて聴く曲ですし、思い入れのある曲でもありません。
そもそも合唱が好きで音楽を始めたわけでもありませんでしたから。
でも…、今回のプロジェクトを通して合唱組曲「阿賀野川」に接していくうちに、合唱曲が大好きになりました。
まさか自分が合唱曲を好きになるなんて、夢にも思わなかったですけどね。


――何事も、中身を知らずして良さは伝わらないものですよね!

本当にそう思います!
今なんて歌詞見なくても口ずさめますよ(笑)。
私の地元ではこのような曲はありませんから、地元にこんな素晴らしい曲があるなんて本当に羨ましいです。
だから真剣に取り組めましたしね。
でもねぇ…、今だからこそこんな気持ちになれたんだと思います。
歳取ったのかなぁ(笑)。


――それは人生における「経験」なのでは(笑)?

うん、そういうことにしておきましょうか(笑)。


――では、最後に読者の皆さんにメッセージをどうぞ。

今回のプロジェクトでお世話になった方や応援してくださったたくさんの方々に感謝いたします。
また合唱組曲「阿賀野川」を少しでも世の中に広げられたら幸いです。
私自身もこの合唱曲のおかげで家族や友達、ふるさとの大切さを知る事ができました。
いつも音楽に助けられてばかりなんです。
その最高な音楽を、皆さんにも合唱×ROCK「阿賀野川」で是非味わってほしいですね。




LEON
1981年生まれ
新潟県新潟市出身
Swallowtail*Queenbee ギター